音楽の著作物 演奏権最高裁JASRAC音楽教室 音楽教室のレッスンで生徒が弾く曲に著作権使用料はかかるのか――JASRAC音楽教室事件・最高裁令和4年10月24日判決 2026年8月9日 はじめに ピアノ教室やボーカル教室のレッスンでは、教師も生徒も、レッスンのたびに数多くの楽曲を演奏します。こうしたレッスン中の演奏は著作権法上の「演奏権」の対象となり、教室の運営者は著作権管理団体に使用料を支払わなければならないのでしょうか。 この問いに答えたのが、最高裁令和4年10月24日判決(第一小法廷・令和3年(... 大熊 裕司
判例紹介 引用発信者情報開示スクリーンショット知財高裁 他人のツイートのスクリーンショット添付は「引用」に当たり得るか——ツイートスクリーンショット事件(知財高判令和5年4月13日) 2026年8月9日 はじめに X(旧Twitter、以下当時の名称で「ツイッター」といいます)では、他人のツイートをスクリーンショット(スクショ)画像にして自分の投稿に添付し、批評やツッコミを加える光景が日常的に見られます。しかし、ツイートも短文とはいえ著作物になり得ます。他人のツイートを画像として丸ごとコピーして投稿する行為は、著作権(... 大熊 裕司
判例紹介 複製権公衆送信権職務著作VTuber VTuberイラストの無断転載ポストにX(旧Twitter)への削除命令——カバー株式会社対X Corp.投稿記事削除請求事件(東京地判令和7年10月30日) 2026年8月9日 はじめに SNS上でイラストを無断転載される被害は、企業・クリエイターを問わず後を絶ちません。無断転載を見つけたとき、まず思い浮かぶ対応は「投稿者本人に削除を求める」「プラットフォームの通報フォームから削除申請をする」というものでしょう。しかし、それでも投稿が消えないとき、権利者には「プラットフォーム事業者そのものを被... 大熊 裕司
言語の著作物 翻案複製権依拠性小説 ネット小説の盗作主張はなぜ退けられたのか――SBクリエイティブ刊行小説への依拠性を否定した知財高裁判決(令和8年6月29日・令和8年(ネ)第10024号) 2026年8月8日 この記事のポイント 結論は請求棄却(控訴棄却)。 裁判所は、被告小説がネット公開された作品に依拠することなく創作されたと認定しており、SBクリエイティブ側に盗作があったと認定された事案ではありません 著作権侵害には「依拠性」(元の作品を材料にしたこと)と「表現の同一性」の両方が必要で、どちらか一方でも欠ければ侵害になら... 大熊 裕司
美術の著作物 翻案二次的著作物翻案権依拠性 「紋次郎いか」控訴審判決を読む――キャラクターの“デフォルメ”が翻案権侵害とされた理由と著作権法28条の射程(知財高判令和7年9月24日) 2026年7月20日 時代小説『木枯し紋次郎』の主人公をかたどった図柄を、半世紀にわたり駄菓子「紋次郎いか」の容器に使い続けてきた――。この図柄をめぐる著作権侵害訴訟で、知的財産高等裁判所は令和7年(2025年)9月24日、請求を棄却した一審判決を覆し、メーカーに約5,600万円の支払いと商品の製造販売の差止めを命じました。 「キャラクター... 大熊 裕司
著作物性 最高裁判決意匠法デザイナー知財 「TRIPP TRAPP」最高裁判決──量産実用品の著作物性に最高裁が初めて明確な基準を示した意義 2026年5月12日 ノルウェー発の子ども用椅子「TRIPP TRAPP(トリップ・トラップ)」は、長年にわたり高いデザイン性をもつ製品として知られてきました。本件で争われたのは、この椅子の形状そのものが著作権法上の「著作物」に当たるのか、そして競合製品の製造販売が著作権侵害や不正競争に当たるのか、という点です。量産され、日常生活の中で実用... 大熊 裕司
地図、図形の著作物 損害論住宅地図ゼンリン 地図のコピーは著作権侵害?ゼンリン住宅地図事件(賠償約2億円)をわかりやすく解説 2026年7月20日 【この記事の3行まとめ】 住宅地図をコピーして業務に使っていたポスティング会社に、裁判所は約2億1296万円の損害賠償責任を認めました(請求は一部請求3000万円のため認容はその範囲) 地図は「事実を写しただけ」に見えても、情報の取捨選択・表示方法・検索の工夫に個性が表れていれば著作物として保護されます 損害額は1頁あ... 大熊 裕司
判例紹介 損害賠償契約依拠性漫画 出版4社対Cloudflare事件――CDN事業者の幇助責任とキャッシュ送信の著作権法上の評価 2026年4月9日 事案の概要――海賊版サイトとCDNサービスの関係 大手出版社4社(KADOKAWA・講談社・集英社・小学館)が、海賊版漫画サイトにCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)サービスを提供していた米国Cloudflare社に対して出版権侵害に基づく損害賠償を求めた事案です。令和7年11月19日、東京地裁は約5億円の賠... 大熊 裕司
判例紹介 損害賠償翻案創作性差止請求 類似するゲーム画面と翻案権侵害――釣りゲータウン事件が示した「全体比較論」の射程 2026年4月9日 はじめに 「このゲーム、あの人気タイトルとそっくりだ」――スマートフォンゲームの世界では、ヒット作が現れるたびに類似作品が登場するのが常です。しかし、画面構成が似ているだけで著作権侵害が成立するわけではありません。 本稿では、携帯電話向け釣りゲーム同士の著作権侵害が争われた「釣りゲータウン事件」(知財高裁平成24年8月... 大熊 裕司
著作権の利用 美術の著作物引用写真の著作物私的使用 絵画を買っても著作権は手に入らない?――所有権・展示権・契約によるオーバーライド問題を整理する 2026年4月9日 はじめに お気に入りの画家から直接購入した一枚の絵。自宅に飾って眺める喜びは格別ですが、友人のレストランオーナーから「店にも飾りたい」と言われたとき、あなたは迷わず「いいよ」と答えられるでしょうか。 実は、絵画を購入して手に入るのは「物としての所有権」であって、「著作権」は画家のもとに留まります。そして著作権のなかには... 大熊 裕司