キャッチコピー・キャッチフレーズ

著作物の「キャッチコピー・キャッチフレーズ」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。

キャッチコピー・キャッチフレーズ

 キャッチコピーやキャッチフレーズとは、商品やサービスの広告などに用いられる短い宣伝文句のことを意味します。キャッチコピーやキャッチフレーズは短いものだと1単語や1行、長くても数行程度であることが多いですが、キャッチコピーやキャッチフレーズに著作物性は認められるのでしょうか。

著作物性が認められるためには、
①思想又は感情であること
②創作性があること
③表現したものであること
④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること
以上の4つの要件を満たす必要性があります。

 結論から申し上げますと、キャッチコピーやキャッチフレーズについては比較的短文であることから一般的には著作物性が否定されることが多いのですが、著作物性が認められているケースもございます。

キャッチコピーやキャッチフレーズに関する裁判例

いくつか実際の判例をあげてご説明します。

 交通安全のためのスローガン事件(平成13年()第2176号 損害賠償請求事件・裁判所ウェブサイト

この事件の原告は、「ボク安心 ママの膝より チャイルドシート」というスローガン(以下「原告スローガン」という。)を創作し、財団法人全日本交通安全協会が主催した平成6年秋の全国交通安全スローガンで優秀賞に選定された原告が、「ママの胸より チャイルドシート」というスローガン(以下「被告スローガン」という。)を作成し、テレビCMなどとして放送した被告らを訴えた事件です。

この事件では、原告スローガンについて、「原告は,親が助手席で,幼児を抱いたり,膝の上に乗せたりして走行している光景を数多く見かけた経験から,幼児を重大な事故から 守るには,母親が膝の上に乗せたり抱いたりするよりも,チャイルドシートを着用させた方が安全であるという考えを多くの人に理解してもらい,チャイルドシートの着用習慣を普及させたいと願って,『ボク安心 ママの膝(ひざ)より チャイルドシート』という標語を作成したことが認められる。そして,原告スローガンは,3句構成からなる5・7・5調(正確な字数は6字,7字,8字)調を用いて,リズミカルに表現されていること,「ボク安心」という語が冒頭に配置され,幼児の視点から見て安心できるとの印象,雰囲気が表現されていること,「ボク」や「ママ」という語が,対句的に用いられ,家庭的なほのぼのとした車内の情景が 効果的かつ的確に描かれているといえることなどの点に照らすならば,筆者の個性が十分に発揮されたものということができる。」として著作物性を認めています。

ただし、被告スローガンは、原告スローガンと共通するところはあっても実質的に同一とは言えないとして複製権侵害には当たらないとしています。

スピードラーニング事件(平成27年(ネ)第10049号 著作権侵害差止等請求控訴事件・裁判所ウェブサイト)(原審 東京地方裁判所平成26年(ワ)第21237号)

 この事件の控訴人と被控訴人はいずれも英会話教材を販売する同業者です。本件では、控訴人は、被控訴人による別紙被控訴人キャッチフレーズ目録記載1ないし4の各キャッチフレーズの使用は、別紙控訴人キャッチフレーズ目録記載1ないし3の各キャッチフレーズの複製権侵害等を構成するとして控訴しています。控訴人と被控訴人のキャッチフレーズの内容は以下のとおりです。

(別紙) 控訴人キャッチフレーズ目録

1 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ 英語がどんどん好きになる

2 ある日突然,英語が口から飛び出した!

3 ある日突然,英語が口から飛び出した

 

(別紙) 被控訴人キャッチフレーズ目録

1 音楽を聞くように英語を流して聞くだけ 英語がどんどん好きになる

2 音楽を聞くように英語を流して聞くことで上達 英語がどんどん好きになる

3 ある日突然,英語が口から飛び出した!

4 ある日,突然,口から英語が飛び出す!

 

この裁判例では、控訴人キャッチフレーズ2について以下のような判断を示し、控訴人キャッチフレーズ2に著作物性が認められないとした原判決の判断に,誤りはないと結論付けています。

「許容される表現の長さによって,個性の表れと評価できる部分の分量は異なるし,選択できる表現の幅もまた異なることは自明である。特に,広告におけるキャッチフレーズのように,商品や業務等を的確に宣伝することが大前提となる上,紙面,画面の制約等から簡潔な表現が求められ,必然的に字数制限を伴う場合は,そのような大前提や制限がない場合と比較すると,一般的に,個性の表れと評価できる部分の分量は少なくなるし,その表現の幅は小さなものとならざるを得ない。さらに,その具体的な字数制限が,控訴人キャッチフレーズ2のように,20字前後であれば,その表現の幅はかなり小さなものとなる。そして,アイデアや事実を保護する必要性がないことからすると,他の表現の選択肢が残されているからといって,常に創作性が肯定されるべきではない。(~中略~)控訴人商品は,リスニングを中心にすえた英会話教材中,集中して聞き入るという方法ではなく,聞き流す方法を採用した教材であり,控訴人キャッチフレーズ2は,控訴人商品を英会話教材として利用した場合に,自然に流暢に 英語を話すことができるようになるという効果があることを謳ったものであるが,その使用方法や効果自体は,事実であるし,消費者に印象を与えるための五七調風 の語調の利用や,商品を主語とした表現の採用自体は,アイデアにすぎない。また, 劇的に学習効果が現れる印象を与えるための『ある日突然』という語句の組合せの利用や,ダイナミックな印象を与えるための『飛び出した』という語句の利用に関しても,上記アイデアを表現する上で一定の副詞や動詞を使用することは不可欠であるから,他の表現の選択肢はそれほど多くないといわざるを得ない。(~中略~)控訴人キャッチフレーズ2における語句の選択は,ありふれたものということができる。」

キャッチコピーやキャッチフレーズで著作権侵害を主張するのは難しい

以上のとおり、キャッチコピーやキャッチフレーズは短い表現であり、ありふれた表現であると評価されることが多いことから、著作物性が否定されることが多いといえます。また、短い表現であっても創作性が認められる余地はありますが、同一性判断は厳格に行われていることから、複製権侵害が成立する可能性は低いのが実情です。

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大熊裕司
弁護士 大熊 裕司
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