著作権侵害の「関税法による水際措置」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。
著作権法第113条第1項第1号で、「国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為」を著作権侵害行為とみなす旨が規定されていて、この条文が根拠となり、関税法第69条の11第1項第9号において、「特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品」を輸入してはならない旨が規定されています。
知的財産侵害物品に該当すると思料される貨物を「侵害疑義物品」と言いますが、税関においてこの侵害疑義物品が発見された場合、当該物品が知的財産侵害物品に該当するか否かの認定手続きが開始されます。
認定手続きが開始されますと、「認定手続開始通知書」が輸入者及び権利者双方に送付され、それぞれの名称又は氏名及び住所が通知されます。
輸入者及び権利者は、通知日の翌日から起算して10執務日以内に、意見・証拠を提出することができ、1か月以内を目途に認定手続きが行われます。
また、著作権者等は自ら輸入差止の申立てを行う事ができます(関税法第69条の13第1項)。輸入差止の申立ては、差止申立書に必要事項を記載し所定の資料等を添付していずれか一か所の税関の業務部知的財産調査官等に提出することにより行います。
輸入差止申立てが受理された場合は、税関長名で申立人に対し、有効期間を記載した通知書により受理したことが連絡されます。差止申立の有効期間は最長4年間になっていて、税関への差止申立て自体に手数料等は掛かりません。