著作物の「著作物性とは」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されています(著作権法2条1項1号)。
①「思想又は感情」とは、高度な学問、芸術等に限定されるものではなく、人間の考えや気持ちが反映されているものは、全て含まれるものと解されています。
逆にいうと、AI(人工知能)による作曲や、猿の自撮り等は人間による創作活動ではなく、「思想又は感情」に該当しないとされ、著作物にはあたりません。
②「表現したもの」とは、著作権として保護される著作物と言えるためには、何らかの形で表現されたものであることが必要であるという意味です。著作権法は特許法とは異なり、アイデア自体を保護するものではなく、表現を保護しているということになります。
例えば、料理本に書いてある料理方法について、全く別の表現で書かれた料理本は、アイデアを流用したかもしれませんが、著作権を侵害したことにはならないわけです。
③「創作的に表現」とは、特に高度な創作性を要求するという意味ではなく、何らかの個性が発揮されていればよいという程度で理解されています。したがって、幼稚園児の書いた絵であっても、個性が表れている以上は創作的表現であると認められます。
逆にいうと、「ありふれた表現」であったり、表現の選択の幅がない場合や、あるアイデアを表現しようとすると、必然的に一定の表現を採らざるを得ないような場合には、創作性がなく著作物性が否定されることになります。
④「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とは、これら4つの分野に属する表現のみを著作物として保護しようとする趣旨ではなく、知的・文化的な精神活動全般を指すものと理解されています。