建築の著作物 設計図建築マンション マンションの設計図は著作物か──メゾンA事件に見る「建築の著作物」と「図面の著作物」の交錯 2026年4月19日 1. 「設計図を真似された」と訴えるとき、何が問題になるのか あるマンションを設計した建築士が、自分の図面を他社に流用されたと考えたとき、まず頭に浮かぶのは「著作権侵害で損害賠償を請求できないか」という発想でしょう。 ところが、この発想はすぐに二つの壁に突き当たります。第一に、建築物そのものを「建築の著作物」として保護... 大熊 裕司
建築の著作物 建築建売住宅住宅デザイン 建売住宅は「建築の著作物」か――グルニエ・ダイン事件が引いた著作物性の高いハードル 2026年4月19日 はじめに――「このマイホーム、著作物として守れますか?」 住宅メーカーの法務担当者から、こんな相談が持ち込まれることがあります。 「競合他社が、うちの看板商品の外観デザインにそっくりな住宅を展示場に建てた。意匠権はとっていない。でも、グッドデザイン賞も受賞した当社自慢の住宅だ。著作権法で差し止められないだろうか?」 直... 大熊 裕司
著作物性 プログラムソースコード電車線設計 電車線設計用プログラム事件――ソースコードの「ありふれた表現」はどこまで保護されないのか 2026年4月19日 東京地判平成15年1月31日・平成13年(ワ)第17306号(著作権侵害差止等請求事件・判時1820号127頁) 判決文(裁判所ウェブサイト) 1. はじめに――「同業他社のCADマクロが自社製品とそっくり」は著作権で止められるか SI・CADベンダーの実務家であれば、一度は次のような相談を受けたことがあるのではないで... 大熊 裕司
著作物性 データベース不法行為翼システム 「翼システム事件」──データベースに著作物性は認められるか、そして著作権がなくても不法行為で保護される場面とは(東京地判平成13年5月25日中間判決) 2026年4月20日 1. はじめに ある企業が、多大な費用と労力を投じて、自動車の車種・型式・諸元をまとめた業界向けデータベースを構築しました。ところが、ライバル企業がそのデータをほぼそのままコピーして、より安い価格で販売し始めてしまいました。著作権法は、このような「情報の塊」を保護してくれるのでしょうか。 著作権法は平成元年(1986年... 大熊 裕司
判例紹介 編集著作物著作者智惠子抄 「智惠子抄事件」──編集著作物の著作者は誰か(最判平成5年3月30日) 2026年4月20日 1. はじめに 詩集『智惠子抄』。高村光太郎が亡き妻・智惠子への想いを綴った詩を、長年にわたる創作のなかから選び出して一冊にまとめた、戦前から戦後に読み継がれる日本文学の古典です。 では、この「詩集」という一個の編集著作物の著作者は誰でしょうか。個々の詩を書いたのは光太郎本人です。しかし、その中から何をどの順で選び、ど... 大熊 裕司
判例紹介 共同著作物ノンタン絵本 「ノンタン事件」――共同著作物の表示は覆せるか(東京高判平成11年11月17日) 2026年4月24日 1. はじめに 書店の絵本コーナーで誰もが一度は目にする『ノンタン』シリーズ。白い子猫が表紙で笑う初期三部作の奥付には、かつて二人の著作者名が並んでいました。ところが現在、書店で手に取るノンタンには、一人の著作者名しか記されていません。 奥付からひとつの名前が消えた背景には、夫婦だった二人の著作者の離婚と、その後十年近... 大熊 裕司
判例紹介 共同著作物編集著作物著作権判例百選 「編」と書かれていれば著作者か――著作権判例百選事件(抗告審)の射程と実務示唆 2026年4月24日 はじめに 法律書の奥付や表紙に「○○編」と記載されることは多いです。しかし、そこに名を連ねる者が当然に編集著作物の著作者となるわけではありません。この点を真正面から判断したのが、本稿で紹介する「著作権判例百選事件」の抗告審です(知財高決平成28年11月11日・平成28年(ラ)第10009号・判時2323号23頁)。 本... 大熊 裕司
写真の著作物 共同著作者写真ヘアスタイル 「ヘアスタイルコンテスト写真事件」──被写体をスタイリングした美容師は写真の共同著作者となるか(東京地判平成27年12月9日) 2026年4月24日 1. はじめに プロのカメラマンが、ヘアドレッサーのスタイリングしたモデルを撮影します。そこにはモデル、スタイリスト、カメラマン、そして撮影を依頼した出版社と、複数のクリエイティブが関わっています。では、その一枚の写真の「著作者」は誰なのか。髪を作り込んだヘアドレッサーは共同著作者として権利を主張できるのか。そして、コ... 大熊 裕司
美術の著作物 応用美術家具TRIPP TRAPP 【詳細解説】TRIPP TRAPP事件―子ども用椅子のデザインは著作物か?応用美術の保護範囲を大きく広げた知財高裁判決 2026年4月19日 1. はじめに―「実用品のデザイン」に著作権は及ぶのか? 家具、文具、アクセサリー、家電製品。私たちの身の回りには、デザイン性の高い実用品が数多くあります。それらの形状や模様が他社に模倣されたとき、デザインした側はどの法律で守られるのでしょうか。 真っ先に思い浮かぶのは「意匠法」ですが、意匠権は特許庁への登録が必要であ... 大熊 裕司
判例紹介 損害賠償契約依拠性漫画 出版4社対Cloudflare事件――CDN事業者の幇助責任とキャッシュ送信の著作権法上の評価 2026年4月9日 事案の概要――海賊版サイトとCDNサービスの関係 大手出版社4社(KADOKAWA・講談社・集英社・小学館)が、海賊版漫画サイトにCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)サービスを提供していた米国Cloudflare社に対して出版権侵害に基づく損害賠償を求めた事案です。令和7年11月19日、東京地裁は約5億円の賠... 大熊 裕司