判例紹介 共同著作物編集著作物著作権判例百選 「編」と書かれていれば著作者か――著作権判例百選事件(抗告審)の射程と実務示唆 2026年4月24日 はじめに 法律書の奥付や表紙に「○○編」と記載されることは多いです。しかし、そこに名を連ねる者が当然に編集著作物の著作者となるわけではありません。この点を真正面から判断したのが、本稿で紹介する「著作権判例百選事件」の抗告審です(知財高決平成28年11月11日・平成28年(ラ)第10009号・判時2323号23頁)。 本... 大熊 裕司
写真の著作物 共同著作者写真ヘアスタイル 「ヘアスタイルコンテスト写真事件」──被写体をスタイリングした美容師は写真の共同著作者となるか(東京地判平成27年12月9日) 2026年4月24日 1. はじめに プロのカメラマンが、ヘアドレッサーのスタイリングしたモデルを撮影します。そこにはモデル、スタイリスト、カメラマン、そして撮影を依頼した出版社と、複数のクリエイティブが関わっています。では、その一枚の写真の「著作者」は誰なのか。髪を作り込んだヘアドレッサーは共同著作者として権利を主張できるのか。そして、コ... 大熊 裕司
映画の著作物 著作者映画製作者宇宙戦艦ヤマト 【詳細解説】宇宙戦艦ヤマト事件―アニメ映画の「著作者」は原作者か、プロデューサーか 2026年7月28日 1. はじめに―国民的アニメをめぐる「著作者」の争い 誰もが知る名作アニメ「宇宙戦艦ヤマト」。そのオープニングテーマを口ずさんだ経験のある方も多いのではないでしょうか。しかし、この作品の「著作者は誰か」という問題が、日本の著作権法史に残る大きな裁判になったことをご存じでしょうか。 漫画家として一般に広く知られていた松本... 大熊 裕司
著作物性 創作性アイディア・表現二分論マージャー理論学問的定義 言葉の定義やフレーズに著作権はある?城の定義事件(東京地判平成6年4月25日)をわかりやすく解説 2026年7月28日 【この記事の3行まとめ】 短い「定義文」は、長年の研究成果でも著作権で保護されにくい――それを正面から判断したのが城の定義事件(東京地判平成6年4月25日)です 著作権が守るのは「アイディア(考え・学説・事実)」ではなく「創作的な表現」だけです(アイディア・表現二分論) 表現方法が一つしかない・きわめて限られる場合は、... 大熊 裕司
著作物性 創作性発信者情報開示事実の叙述傍聴記 「傍聴メモ」に著作権は発生するか――ライブドア裁判傍聴記事件が示した事実と創作性の境界 2026年7月28日 はじめに――その「傍聴記」、誰のものか あなたが注目の刑事裁判を傍聴し、法廷で見聞きした証人尋問の内容を自分のブログに丁寧にまとめたとします。しばらくして、自分が書いた文章と極めてよく似た記事が、他人のブログにコピーされているのを見つけました。「著作権侵害だ。プロバイダに発信者情報を開示させ、削除させよう」と考えるのは... 大熊 裕司
美術の著作物 創作性二次的著作物模写浮世絵 「模写」に著作権は生まれるのか――豆腐屋事件が示した二次的著作物の創作性ライン 2026年7月28日 はじめに――江戸の浮世絵を「写した」絵は、誰のもの? 江戸時代の風俗を描いた古い浮世絵は、当然ながらすでに保護期間を過ぎたパブリックドメインの作品です。では、その浮世絵を現代の画家が忠実に「模写」した場合、その模写絵は新しい著作物として保護されるのでしょうか。たとえば、誰かが研究者の模写絵を豆腐のパッケージに無断で使っ... 大熊 裕司
著作物性 編集著作物選択・配列リスト松本清張 リストや一覧表に著作権はある?松本清張映像化リスト事件(編集著作物)をわかりやすく解説 2026年7月28日 【この記事の3行まとめ】 何年もかけて調べ上げたリストでも、「集める労力」自体は著作権では保護されません(「額に汗」理論の不採用) 保護されるのは、素材の選択・配列に表れた個性(創作性)だけ。「漏れなく集めて年代順に並べる」網羅的リストは創作性が否定されやすいのです データ集積ビジネスの保護は、著作権だけに頼らず、契約... 大熊 裕司
美術の著作物 応用美術分離可能性説ファッション 激安ファストファッション事件――ファッションショーは「著作物」か?応用美術の分離可能性説を確立した代表判例 2026年7月28日 知財高判平成26年8月28日 平成25年(ネ)第10068号 判時2238号91頁掲載先:chosakukenhou.jp 論点図 1. 導入――「ショー」そのものは誰のものか 華やかな照明、軽快な音楽、モデルがランウェイを歩き、ポーズを決める――。ファッションショーは、化粧・衣装・アクセサリー・振付・音響・映像が複雑... 大熊 裕司
美術の著作物 応用美術家具TRIPP TRAPP 【詳細解説】TRIPP TRAPP事件―子ども用椅子のデザインは著作物か?応用美術の保護範囲を大きく広げた知財高裁判決 2026年4月19日 【重要な追記(2026年7月)】本記事が扱う知財高裁判決の「個性の発揮」基準は、最判令和8年4月24日(令和7年(受)第356号・第二小法廷)により、現在は最高裁の示した統一基準に取って代わられています。以下の記述は最高裁判決前の議論状況としてお読みください(最高裁判決の内容は「TRIPP TRAPP」最高裁判決の解説... 大熊 裕司
写真の著作物 創作性商品写真 商品写真に著作権は認められるか―スメルゲット事件で示された「限界事例」の判断枠組み 2026年7月28日 1. はじめに―ネット通販の「商品写真」を無断利用されたら? ECサイトやネットショップを運営している方であれば、一度は「自分が撮った商品写真を、同業他社にそっくりそのままコピペされた」という経験があるのではないでしょうか。逆に、仕入れた商品を転売する際に「メーカーのサイトに載っている写真をそのまま使ってしまった」とい... 大熊 裕司