
著作物の「風景写真に関する著作権」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法や著作物・版権などに関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。
写真の著作物については、第10条第1項第8号に例示されています。著作権法上は、写真についての定義規定はありません。元来は、フィルムや印画紙等に映像を焼きつける物を想定していましたが、デジカメで撮影したものも含むとされています。
写真の著作物については、その著作物性についていろいろ争いがありますが、証明写真や、防犯カメラ、絵画を忠実に複写したもの等は著作物性がないとされています。写真が著作物とされるのは、被写体の選択、絞り、シャッターチャンス、焼きつけなどに写真を撮った者の思想感情が表現されると考えられるからです。
写真が著作物と認められるには、必ずしも芸術写真である必要はなく、アイドルのブロマイド等も写真の著作物と認められる可能性があります。
自然の風景を写した写真の著作物性自然の風景を写した写真は、撮影した季節、撮影場所、撮影した時間、撮影方向等の選択は、あくまでアイデアの範囲にとどまるもので、著作権法上保護される対象ではありません。
このように選択されたものをフィルム上に創作的に表現されたものが著作物となるのです。したがって、ある写真と同じ自然風景を同じ季節に、同じ方角から写真撮影することは、著作権侵害とはなりません。
裁判例(カタログ写真事件、大阪地判平成7.3.28知的裁集27巻1号210頁)は、写真Aそのものを有形的に再製したのではなく、写真Aと同一の被写体を同様の撮影方法を用いて、写真Bを撮影したからといって、直ちに写真Aの複製になるとは言い難いと判示しています。