著作権の「著作権登録制度とは」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。
著作権の登録
無方式主義を採用している著作権は、特許等の産業財産権と違って登録手続きを行わなくても権利は発生します。しかし、権利を他者に利用させるために譲渡したり許諾したりするには、その効果を第三者に主張できるようにするための制度が必要です。そこで、著作権法では著作権の登録に関する規定が置かれています。
また、著作権登録を行えば、権利の証明や著作権の保護期間の立証が容易になる等のメリットがあります。
なお、ソフトウェアプログラム以外のものは文化庁、ソフトウェアプログラムについては一般財団法人ソフトウェア情報センターに対して登録手続きをする必要があります。
著作権登録の代表的なものは以下の通りです。
実名の登録(75条)
無名または変名で公表された著作物の著作者がその実名を登録する制度です。実名登録をすると、保護期間が従前公表後70年であったものが(著作権法52条1項)、著作者の死後70年に延長されます(同条2項2号、51条2項)。
また、著作権法14条による著作者の推定を受けるためには実名または周知な筆名等を著作物に表示しなくてはなりませんが、実名の登録をすることによって、著作物は無名または変名等を表示しておいても著作者と推定されることになります。
第一発行年月日等の登録(76条)
著作権者又は無名若しくは変名で公表された著作物の発行者は,当該著作物が最初に発行され又は公表された年月日の登録を受けることができます。登録されれば、反証がされないかぎりその日が第一発行年月日等と推定されます。
創作年月日の登録(76条の2)
プログラムの著作物の著作者は,当該プログラムの著作物が創作された年月日の登録を受けることができます。登録されれば、反証がされないかぎりその日が創作年月日と推定されます。
著作権・著作隣接権の移転等の登録(77条)
著作権若しくは著作隣接権の譲渡等,又は著作権若しくは著作隣接権を目的とする質権の設定等があった場合,登録権利者又は登録義務者は著作権又は著作隣接権の登録を受けることができます。権利変動について第三者に対抗することができます。
出版権の設定等の登録(88条)
出版権の設定、移転等、又は出版権を目的とする質権の設定等があった場合、登録権利者及び登録義務者は出版権の登録を受けることができます。権利変動について第三者に対抗することができます。