類似性

著作権侵害の「類似性」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。

著作権法における類似性の意義

類似性とは、著作物(創作的表現)が同一または類似であることを意味します。著作権侵害の成立要件の一つですが、被告著作物が原告著作物に類似しているという要件です。
しかし、両者の著作物が類似しているか否かという問題は、判断困難な事例が多い難しい問題ではあります。

「表現上の本質的特徴の直接感得」基準

パロディ・モンタージュ事件(最判昭和55年3月28日民集34巻3号244頁)は、「自己の著作物を創作するにあたり、他人の著作物を素材として利用することは勿論許されないことではないが,右他人の許諾なくして利用をすることが許されるの著作物における表現形式上の本質的な特徴をそれ自体として直接感得させないような態様においてこれを利用する場合に限られる」と判示しています。

ところで、本件写真は、右のように本件モンタージユ写真に取り込み利用されているのであるが、利用されている本件写真の部分(以下「本件写真部分」という。)は、右改変の結果としてその外面的な表現形式の点において本件写真自体と同一ではなくなつたものの、本件写真の本質的な特徴を形成する雪の斜面を前記のようなシユプールを描いて滑降して来た六名のスキーヤーの部分及び山岳風景部分中、前者についてはその全部及び後者についてはなおその特徴をとどめるに足りる部分からなるものであるから、本件写真における表現形式上の本質的な特徴は、本件写真部分自体によつてもこれを感得することができるものである。そして、本件モンタージユ写真は、これを一瞥しただけで本件写真部分にスノータイヤの写真を付加することにより作成されたものであることを看取しうるものであるから、前記のようにシユプールを右タイヤの痕跡に見立て、シユプールの起点にあたる部分に巨大なスノータイヤ一個を配することによつて本件写真部分とタイヤとが相合して非現実的な世界を表現し、現実的な世界を表現する本件写真とは別個の思想、感情を表現するに至つているものであると見るとしても、なお本件モンタージユ写真から本件写真における本質的な特徴自体を直接感得することは十分できるものである。そうすると、本件写真の本質的な特徴は、本件写真部分が本件モンタージユ写真のなかに一体的に取り込み利用されている状態においてもそれ自体を直接感得しうるものであることが明らかであるから、被上告人のした前記のような本件写真の利用は、上告人が本件写真の著作者として保有する本件写真についての同一性保持権を侵害する改変であるといわなければならない。

また、江差追分事件(最判平成13年6月28日民集55巻4号837頁)は、以下のとおり、「既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得すること」ができるかが基準となる旨判示しています。

 (1)【要旨1】 言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。そして,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(同法2条1項1号参照),【要旨2】既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,翻案には当たらないと解するのが相当である。

「創作的表現の共通性」基準

「表現上の本質的な特徴の直接感得」基準は、最高裁をはじめとする裁判例の多くが採用する考え方ですが、これを理論的に整理したのが「創作的表現の共通性」基準です。詳しくは、「表現上の本質的な特徴を直接感得する」ことの意味でも解説しておりますので、ご参照ください。

表現部分の共通性

著作権法は,アイデアを保護せず,表現だけが保護されています。これを「表現・アイデア二分論」といいます。したがって、原告著作物と被告著作物とで、アイデアの部分が共通するとしてもそれだけでは著作物が類似するとはいえず,具体的な表現部分が共通してはじめて類似性が肯定されることになります。
実際の裁判実務では「対比表」という書式を用いて、原告著作物と被告著作物を対比して、具体的な表現レベルで共通した表現が存在するか否かが主張されます。

創作性ある表現部分の共通性

上記のように、両著作物がアイデアにとどまらず、具体的な表現レベルで類似していることが、類似性判断において必要であることは当然ですが、表現が類似するのみでは類似性(著作権侵害)は認められません。
著作権法は、創作性のある表現を著作物として保護していますので、類似する表現に創作性が認められることも必要となります。逆の見方をすると、いくら表現が類似していたとしても、創作性のない表現(ありふれた表現)であるような場合は、著作権侵害は成立しないことになります。

 

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大熊裕司
弁護士 大熊 裕司
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