人格権に関連する「パブリシティ権」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。
- パブリシティ権とは、人の氏名、肖像等(肖像、サイン、署名、声、ペンネーム、芸名等)が、商品の販売等を促進する顧客誘引力を有する場合に、この顧客誘引力を排他的に利用する権利です。
- もともと、判例は、人の氏名、肖像等は、個人の人格の象徴であって、人は、一般に、人格権に由来するものとして、その氏名、肖像等をみだりに利用されない権利又は利益を有することが認めらていました(氏名権・肖像権)。
- 他方、芸能人、スポーツ選手などの有名人の場合、氏名、肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり、パブリシティ権は、人格権に由来するものである点で氏名権・肖像権と共通の性質を有するが、肖像等それ自体の商業的・経済的価値を保護するという側面を有しています。
- 氏名権・肖像権とパブリシティ権は、「人格権に由来する権利」という点では共通していますが、それぞれ別個の権利とされています。
- パブリシティ権を定めた明文の規定はなく、判例によって確立された権利です。
- もともとは、顧客吸引力を有する著名人の氏名、肖像の無断の商業的使用行為について民法上の不法行為として損害賠償請求が問題となりましたが、排他的独占権が認められる権利として確立しました。
- パブリシティ権という表現は使用していませんが、おニャン子クラブ事件-東京高判平成3年9月26日判タ772号246頁はパブリシティ権を認め、これに基づく差止め、損害賠償、侵害物品の廃棄を認め、これによりパブリシティ権が確立したと評価されています。
- もっとも、各裁判例によりパブリシティ権の判断枠組みに相違が見られ、学説上も統一的な見解はみられませんでした。
- ピンク・レディ事件-最判平成24年2月2日民集66巻2号89頁によって、パブリシティ権の判断枠組みが確立されました。