漫画については、一般的には美術の著作物の一つということになりますが、漫画にはセリフがあり、ストーリーもあることから場合によっては言語の著作物としても保護される可能性があります。
漫画については、「ポパイ事件」と「キャンディキャンディ事件」の2つの有名な最高裁判例があります。
ポパイ事件(最判平成9年7月17日民集第51巻6号2714頁)では、①漫画の登場人物であるキャラクターに著作物性があるか、②一話完結形式の連載漫画の著作権の存続期間について判断がされています。詳しくは、裁判所ウェブサイトをご覧ください。
①の具体的な漫画の表現を離れた登場人物のいわゆるキャラクターについては、著作物性を認めないと判断しています。
②一話完結形式の連載漫画の著作権の存続期間については、各漫画の完結した時点から著作権の保護期間が独立して進行すると判断されています。そして後続の漫画は、先行の漫画を原著作物とする二次的著作物であるとし、二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当であると判断しています。
キャンディキャンディ事件(最判平成13年10月25日民集第203号285頁)は有名な少女漫画「キャンディキャンディ」に関する事件です。詳しくは、裁判所ウェブサイトをご覧ください。
原作者である甲(原告・被控訴人・被上告人)は甲に無断で、絵画作者である乙(被告・控訴人・上告人)がキャンディを描いたリトグラフと絵葉書を作成・販売したことに対し、差止請求等を行った事件です。
この事件では、本件連載漫画キャンディキャンディは、甲の小説形式の原稿に基づいて制作されているので、甲の原稿を原著作物とする二次的著作物であり、甲は本件連載漫画について原著作者の権利を有するとし、乙が本件連載漫画の主人公を描いた本件原画を合意によることなく作成し,複製し,又は配布することの差止めを求めることができると判断しました。
つまり、漫画のキャラクターグッズなどを販売したい場合は、絵画作者だけでなく、原作者の許諾も必要になるという点に注意が必要になります。