著作者人格権の「みなし著作者人格権侵害」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。
みなし著作者人格権侵害とは
著作権法113条11項は、「著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。」と規定しています。
みなし著作者人格権侵害の趣旨は、著作者の人格権を保護することにあり、著作物の内容や形態が著作者の意図に反して変更されることを防ぐことを目的としています。
- 著作者の名誉や評価を保護する:著作物が無断で改変されたり、意図しない形で使用されることで、著作者の名誉や評価が損なわれることを防ぐことが目的です。
- 著作物の芸術的価値を守る:著作物は、著作者の創作活動の結果であり、芸術的価値が含まれています。みなし著作者人格権侵害の規定は、著作物の芸術的価値を保護し、著作者の創作性を尊重することを目的としています。
- 著作者と利用者の利益のバランスを保つ:著作物を利用する際には、著作者と利用者双方の利益を適切に配慮することが重要です。著作者から利用許諾を得た者は、許諾範囲内で著作物を使用することが求められます。みなし著作者人格権侵害の規定は、このバランスを保つことを目的としています。
「名誉又は声望」の意味
「著作者の名誉又は声望」とは、著作者の社会的名誉と解されています。したがって、社会的に見て、著作者の名誉または声望を害するおそれがあると認められるような行為がみなし著作者人格権侵害となります。逆にいうと、著作者の主観的な名誉感情を害するに過ぎない場合は著作者人格権侵害とはなりません。