著作権法第40条は、政治上の演説等に関する権利制限規定です。
公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続における公開の陳述について、国民が広く知ることができるように設けられた規定です。
裁判手続きについては、行政庁が行う審判やその他の準司法的な手続きも含まれます。
また、同一性保持権を損なわないかぎり、翻訳による利用も認められます。
ただし、「安倍晋三演説集」のような「同一の著作者のものを編集して利用する場合」には第40条1項の規定は適用されません。
第40条2項は、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述については、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、有線放送し、地域限定特定入力型自動公衆送信を行い、若しくは放送同時配信等を行うことができる旨を規定したものです。翻訳による利用も認められます。「報道の目的上正当と認められる場合」に限定しているのは、営利目的での利用を認めないことを明確にするためのものです。
なお、第40条1項及び2項による利用をする際には出所を明示する必要があります(著作権法第48条1項2号)。