【2025年最新版】YouTube著作権侵害の完全ガイド|警告(ストライク)からチャンネルを守る全手順

はじめに:あなたのチャンネルは大丈夫?他人事ではない著作権問題

YouTubeでの活動、楽しんでいますか?情熱を注いで作った動画が多くの人に見てもらえる喜びは、何物にも代えがたいものです。しかし、その輝かしい活動の裏には、常に「著作権」という大きなリスクが潜んでいます。

「好きなアニメの映像を少しだけ…」「このBGM、雰囲気に合うから…」

そんな軽い気持ちで他人のコンテンツを使った結果、ある日突然、動画が削除され、チャンネルに警告が付き、最悪の場合、大切に育ててきたチャンネルが一瞬で凍結されてしまう…そんな悪夢のようなシナリは、決して他人事ではありません。

この記事は、すべてのYouTube配信者が知っておくべき著作権トラブルの現実と、万が一トラブルに巻き込まれてしまった際の具体的な「実務対応策」を、網羅的かつ徹底的に解説する完全ガイドです。Content IDの申し立てから、恐怖の「3ストライク制度」、そして最終手段である「カウンターノーティス」まで。この記事を読めば、あなたが取るべき行動がすべてわかります。

あなたの貴重なチャンネルと活動を守るため、そして安心して創作活動を続けるために、ぜひ最後までじっくりとお読みください。

第1章:他人のコンテンツ利用で起こりうる著作権トラブルの全体像

YouTubeで他人の映像、音楽、画像といった「著作物」を無断で使用すると、どのようなトラブルが起こるのでしょうか?まずは、その典型的なパターンを把握しましょう。これらの問題は個別に発生するのではなく、連鎖的にあなたのチャンネルを追い詰めていく可能性があります。

1. 動画の削除(削除通知)

最も直接的で分かりやすいトラブルが、動画の削除です。著作権を持つ権利者(またはその代理人)が、あなたの動画が著作権を侵害していると判断した場合、YouTubeに対して正式な削除申立て(DMCAに基づく削除要請)を行います。この申立てが正当なものだとYouTubeに認められると、該当の動画はプラットフォーム上から強制的に削除されます。

この措置は、単に動画が一つ消えるだけでは済みません。著作権者から有効な著作権侵害による削除通知が提出されると、動画は削除され、チャンネルは「著作権侵害の警告」を受けます(参考: YouTube ヘルプ)。

2. チャンネルへの警告(ストライク)

動画が著作権侵害を理由に削除されると、あなたのチャンネルには「著作権侵害の警告(通称:ストライク)」という重いペナルティが記録されます。これは、野球のストライクコールのように、違反が累積していくシステムです。

  • 1ストライク:機能制限(1週間のアップロードやライブ配信停止など)

  • 2ストライク:さらに重い機能制限(2週間のアップロードや配信停止など)

  • 3ストライクチャンネルの永久停止(アカウント凍結)

恐ろしいのは、このストライクが90日以内に3回累積すると、問答無用でチャンネルがBANされてしまう「3ストライク制度」です。一度凍結されると、これまで投稿したすべての動画が削除され、二度とそのアカウントで活動することはできません。さらに、新しいチャンネルを開設することさえ禁止されます。まさに、YouTuberとしての生命を絶たれるに等しい、最も深刻な制裁です。

3. コンテンツID(Content ID)による申し立て

「あれ、ストライクは付かないけど、何か通知が来た…」という経験はありませんか?それが「Content IDによる申し立て」です。これは、大手レコード会社や映画会社などが自身の著作物をYouTubeのデータベースに登録しておき、アップロードされた動画と自動的に照合するシステムです。

Content IDの申し立ては、法的な削除要請ではないため、通常はこれ自体でチャンネルに「ストライク」が付くことはありませんが、動画の収益化制限やブロックといった影響が出ます。

4. ライブ配信の強制停止

ライブ配信中に著作権で保護された音楽を流したり、テレビ番組の映像を映したりした場合、リアルタイムで配信が強制的に中断されることがあります。YouTubeのシステムはライブ配信も監視しており、重大な侵害と判断されれば、事前警告なしに配信機能が一時停止されたり、最悪の場合は即座にアカウントが凍結されたりする可能性もゼロではありません。

第2章:YouTubeの著作権ポリシーと2つの仕組み(Content ID vs 削除通知)

YouTubeにおける著作権管理の仕組みは、大きく分けて2種類あります。それは、前章でも触れた「Content IDシステム」による自動検出と、「著作権侵害による削除通知(DMCA削除申請)」という法的な手続きです。この2つの違いを正確に理解することが、適切な対応の第一歩となります。

1. Content ID:自動化された著作権管理システム

Content IDは、膨大な量の動画がアップロードされるYouTubeにおいて、効率的に著作権を管理するためのテクノロジーです。権利者は、検出した動画に対し「ブロック」「収益化」「トラッキング」のいずれかの措置を選択できます。あくまでYouTube内のシステムによる自動マッチング通知であり、これ自体がストライクになることはありません。

2. 著作権侵害による削除通知(DMCA削除):法的根拠に基づく削除要請

一方、「削除通知」は米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)という法律に基づいた、正式な法的申立てです。YouTubeはDMCAの「ノーティス・アンド・テイクダウン(通知と削除)」制度に従い、正当な通知を受け取った場合、速やかにコンテンツを削除し、さらに“繰り返し侵害者”はアカウントを停止する義務を負っています。このため、権利者からの削除申請には厳格に対応せざるを得ず、投稿者にとっては一発アウトになり得る重大な手続きです。

第3章:恐怖の「ストライク制度」:チャンネル停止までの具体的なプロセス

「ストライク」がどれほど恐ろしいものか、その具体的なプロセスをYouTubeの公式ヘルプを基に詳しく見ていきましょう。

1. 事前警告(初回違反前の救済措置)

多くの場合、最初の違反に対しては正式なストライクの前に「事前警告」が一度だけ与えられます。ペナルティとして、YouTubeの著作権ポリシーに関する簡単なトレーニング(コピーライトスクール)の受講が求められます。

2. 1回目の警告(1ストライク)

事前警告後に再び違反を犯すと、最初のストライクが記録され、1週間の機能制限が科されます。この警告は、コピーライトスクールを受講すれば90日後に失効します。

3. 2回目の警告(2ストライク)

最初の警告が有効な90日以内に、さらに違反をすると2回目のストライクを受け、2週間の機能制限が課されます。

4. 3回目の警告(3ストライク)→ チャンネル停止

90日以内に3回目の著作権警告を受けると、もはや弁解の余地はありません。チャンネルは即時に、そして永久に停止されます。これまでの全動画が削除され、新規チャンネルの開設も禁止される、事実上の「YouTubeからの永久追放」です(参考: YouTubeヘルプ)。

例外:悪質な場合は一発停止も

映画の無断アップロードなど、侵害内容が極めて悪質だと判断された場合は、警告プロセスをスキップして一発でチャンネルが凍結される可能性もあります。

第4章:【ケース別】今すぐできる!著作権トラブルへの具体的な実務対応策

ケース1:Content IDの申し立てを受けた場合の対応

Content IDの申し立て通知が来た場合、以下の4つの選択肢を検討しましょう。

  1. 何もしない: 申し立て内容に同意し、収益化やブロックなどの措置を受け入れる。

  2. 該当するコンテンツを削除・修正する: YouTube Studioのツールを使い、問題部分のカットや音声の差し替えを行う。

  3. 収益を共有する: 権利者が許可している場合、収益分配に同意する。

  4. 異議申し立てをする: 使用許諾がある、パブリックドメインであるなど、正当な理由がある場合に異議を申し立てる。

【重要注意点】安易な異議申し立ては危険!

根拠なく異議申し立てを乱用すると、権利者が態度を硬化させ、Content IDの申し立てをDMCA削除通知に切り替えてくるリスクがあります。これによりストライクに発展する可能性があるため、異議申し立ては慎重に行うべきです。

ケース2:著作権侵害の削除通知(ストライク)を受けてしまった場合の対応

チャンネルにストライクが付いてしまった場合、取り得る対処法は大きく分けて3つです(参考: YouTubeヘルプ)。

① 90日間待って警告の失効を待つ

最も消極的ながら、自身に非がある場合は現実的な選択肢です。コピーライトスクールを受講し、90日間新たな違反を起こさないよう注意します。

② 権利者に「削除通知の撤回」を直接依頼する

削除通知を送ってきた著作権者に連絡し、通知の撤回(リトラクション)を依頼する方法です。成功率を高めるには、なぜ侵害ではないのかを法的に説明する必要があるため、弁護士など専門家を通じて交渉することが重要です。

③ YouTubeに異議申し立て通知(カウンターノーティス)を提出する

動画の削除が誤りであると確信できる場合の最終手段です。これは正式な法的反論であり、権利者に対して「訴訟を起こすか、動画の復活を受け入れるか」の二者択一を迫る行為です。成功すれば動画とストライクは取り消されますが、実際に訴訟へ発展するリスクを伴います。

【補足】7日間の自主削除猶予

権利者の設定によっては、通知から7日以内に自主的に動画を削除すればストライクを回避できる場合があります。通知内容はよく確認しましょう。

第5章:最終手段「カウンターノーティス」の仕組みと覚悟

カウンターノーティスは、DMCA法に基づいた正式な反論プロセスです。利用する前に、その仕組みとリスクを正確に理解しておく必要があります。

カウンターノーティスの手順

  1. 提出: YouTube Studioの専用フォームから、氏名・住所・連絡先、そして「偽証すれば罰せられることを承知の上で、コンテンツが誤って削除されたと信じている」という宣誓供述などを記入して送信します。

  2. 権利者への転送: YouTubeは要件を満たした通知を、削除を申請した権利者に転送します。

  3. 権利者の対応(10営業日ルール): 権利者は通知を受け取ってから米国時間で10営業日以内に、あなたを相手取って裁判所に提訴した証拠をYouTubeに提出しなければなりません。もし期限内に権利者が法的措置を取った証拠を示せなければ、動画は復活し、警告も取り下げられます。

カウンターノーティスの法的リスクと覚悟

この手続きは、「必要であれば、裁判も辞さない」という強い意思表示です。米国の連邦裁判所で高額な費用のかかる訴訟に発展するリスクがあるため、軽率な送信は絶対に避けるべきです。根拠のない虚偽の申請は、アカウントの停止やさらなる法的問題につながる可能性もあります。

第6章:一人で悩まない!弁護士という強力なサポーターの重要性

著作権トラブルの対応では、弁護士など専門家のサポートが極めて重要です。

  1. 違反か否かの的確な法的判断: あなたのコンテンツ利用が「引用」として適法か、フェアユースを主張できるかなど、専門的な見地からアドバイスを受けられます。

  2. 削除通知の「撤回交渉」の代理: 弁護士名で内容証明郵便を送るなど、個人で交渉するよりも成功率を高めることができます。

  3. カウンターノーティス送信前のリスク評価: 「異議を通せる見込みがあるか」「訴訟リスクに耐えられる案件か」を客観的に評価してもらい、無謀なリスクを避けることができます。

  4. 万が一の訴訟への対応: 実際に訴訟になった場合、弁護士なしで対応するのは困難です。

  5. トラブルを未然に防ぐ「予防法務」: 動画投稿前にコンテンツのリーガルチェックを依頼することで、安心してチャンネルを運営できます。

多くの法律事務所がYouTuber向けの相談サービスを提供しています。大切なチャンネルを守るため、専門家の力を借りることをためらわないでください。

第7章:過去の事例から学ぶ、著作権トラブルの生々しい教訓

事例1:ゲーム実況者がBGMでチャンネル凍結

市販音楽をBGMに使用したことでストライクが累積し、チャンネルが凍結された事例があります。たとえ背景音でも無断使用は厳禁であり、特に音楽は自動検出されやすいため、著作権フリー素材や許諾を得た楽曲のみを使う運営が不可欠です。

事例2:濡れ衣による誤認凍結からの復活劇

第三者の無断転載が原因で、オリジナル制作者のチャンネルが誤って凍結されたものの、証拠を揃えて異議申し立てを行い、復活に成功したケースもあります。自分に非がない場合は、諦めずに正当性を主張することが重要です。

事例3:「ファスト映画」事件の衝撃

映画の無断要約動画を投稿した配信者が逮捕・起訴され、5億円もの損害賠償支払いが命じられた事件は、悪質な著作権侵害が刑事・民事の両面で厳しく追及されることを示しています。

これらの事例が共通して示しているのは、「知らなかった」「うっかりしていた」では済まされないという厳しい現実です。

まとめ:ルールを理解し、創造性を守り、安全なチャンネル運営を

YouTube配信者にとって、著作権トラブルは避けて通れないリスクです。しかし、ルールを正しく理解し、万が一の際には冷静に対応すれば、乗り越えることは可能です。

日々のコンテンツ制作でも、「これくらい大丈夫だろう」と思い込まず、疑わしい場合は安全な選択を徹底しましょう。そして、チャンネルの存続に関わる深刻な局面では、決して一人で抱え込まず、速やかに専門家に相談してください。この記事で解説した知識と対応策が、あなたの安全で創造的なYouTube活動の一助となれば幸いです。

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大熊裕司
弁護士 大熊 裕司
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