著作者人格権の「著作者の死後における人格権の保護」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。
著作者人格権は、著作者の一身に専属するものであり、原則として人格権は生存している人間にのみ認められ、死者には認められないと考えられていますので、著作者人格権は著作者の死によって消滅することになります。
しかしながら、著作者が亡くなったのを良いことに、勝手に未公表の著作物を公開したり、著作者名を変えてしまったり、著作物の内容を勝手に変更したりされてしまうのは問題です。
そこで法は、一定要件化において、著作者が存しなくなった後においても、著作者が生きていた場合に著作者人格権侵害となるような行為をしてはならないとしています(著作権法第60条)。
人格的利益が害された場合の具体的な救済措置については、著作権法第116条で規定されていて、著作者の遺族が差止請求(著作権法第112条)、損害賠償請求(民法709条)、名誉回復等の措置請求(著作権法第115条)ができることになっています。
著作権法第116条の遺族とは、「死亡した著作者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹」のことであり、第116条の遺族の順は、原則としてこの順となっていますが、著作者は遺言でこの順番を変更することができます。
著作権法第116条の請求可能期間については、「当該著作者又は実演家の死亡の日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した後(その経過する時に遺族が存する場合にあつては、その存しなくなつた後)においては、その請求をすることができない。」(著作権法第116条)となっています。