釣りゲータウン2知財高裁判決(平成24年(ネ)第10027号)

著作権に関連する裁判の判例である「釣りゲータウン2知財高裁判決(平成24年(ネ)第10027号)」をテーマに、著作権専門の弁護士がわかりやすく解説します。著作権法に関することはなかなか理解しにくいため、トラブルなどが起きたときやトラブルを未然に防ぐためには著作権の専門の弁護士にご相談ください。

本件は、GREE社(以下、第一審原告とする。)が、DeNA社(以下、第一審被告とする。)の釣りゲーム「釣りゲータウン2」は、GREE社の「釣り★スタ」の翻案権を侵害するものであるとしてを訴えた事件です。
第一審では、原告ゲームの中の魚の引き寄せ画面の表現の本質的特徴が被告の作品の中に維持されているからから、被告の魚の引き寄せ画面は原告作品の翻案にあたるとして原告の請求の一部を認め、その余の原告の請求を棄却しました。原告、被告ともに原審を不服として控訴しました。
控訴審では、「原告作品と被告作品とは,いずれも携帯電話機向けに配信されるソーシャルネットワークシステムの釣りゲームであり,両作品の魚の引き寄せ画面は,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において,共通する。
しかしながら,そもそも,釣りゲームにおいて,まず,水中のみを描くことや,水中の画像に魚影,釣り糸及び岩陰を描くこと,水中の画像の配色が全体的に青色であることは,前記(2)ウのとおり,他の釣りゲームにも存在するものである上,実際の水中の影像と比較しても,ありふれた表現といわざるを得ない。次に,水中を真横から水平方向に描き,魚影が動き回る際にも背景の画像は静止していることは,原告作品の特徴の1つでもあるが,このような手法で水中の様子を描くこと自体は,アイデアというべきものである。」として、第一審原告の請求はいずれも棄却され、逆転判決となりました。

控訴審において、第一審被告は、GREE社の魚の引き寄せ画面がありふれたものであることの証拠を多数補強しています。当業者からみたら当たり前のゲーム画面の構成と思われるものであっても判断をする裁判官は当業者ではないので、第一審の段階からこのような証拠をしっかりと集めて裁判所に提出する必要があるものと思われます。

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大熊裕司
弁護士 大熊 裕司
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