
無断転載とは、他人の写真・イラスト・文章・動画などを、権利者の許可なくコピーしてSNSやウェブサイトに掲載することです。著作権の保護対象であり、適法な引用などの例外に当たらない場合には、著作権侵害となる可能性があります。出典を書いたことや、営利目的ではないことだけで、自由に転載できるわけではありません。
無断転載の被害に気づいたときは、投稿を削除してもらう前に証拠を残すことが重要です。そのうえで、削除を求めたいのか、匿名の投稿者を特定して損害賠償を求めたいのかを整理します。
この記事では、無断転載と引用・スクリーンショットの違い、被害を受けた場合の対処法、弁護士に相談する際の確認事項を解説します。
無断転載の被害を受け、削除請求・投稿者の特定・損害賠償を検討している方は、次の相談ページをご覧ください。
ご自身の投稿について警告書や請求を受けた方は、請求を受けた側の確認事項をご覧ください。
無断転載とは?どこからが違法か
無断転載とは、他人が創作した写真・イラスト・文章・動画などの著作物を、権利者の許可なくコピーして自分のブログやSNSアカウント等に掲載する行為をいいます。著作物をコピーする行為は複製権(著作権法21条)に、インターネット上に掲載して誰でも見られる状態に置く行為は公衆送信権(同法23条)に触れるため、権利者の許諾がない転載は原則として著作権侵害にあたります。
「引用」なら適法——ただし要件は厳格
例外となるのが著作権法32条の「引用」です。公表された著作物は、公正な慣行に合致し、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものであれば、許諾なく引用することができます。実務上は、自分の記述が主・引用部分が従という関係にあること、引用部分が明確に区別されていること、出所を明示すること(同法48条)などが求められます。これらの要件を欠く「引用」は、名目がどうであれ無断転載です。詳しくは引用による利用(32条)の解説記事をご覧ください。
よくある行為の適法・違法の目安
| 行為 | 目安 |
|---|---|
| 公式のシェア・リポスト(リツイート)機能でそのまま共有する | 原則として問題になりにくい(プラットフォームの規約に基づく利用)。ただし、リポスト(当時のリツイート)で画像が自動トリミングされ著作者名の表示が消えた事案について、リポストした人自身の氏名表示権(著作権法19条1項)侵害を認めて発信者情報開示を認めた最高裁判決(最判令和2年7月21日・判決文PDF・裁判所ウェブサイト)があり、公式機能の利用でも侵害の主体になり得る点に注意 |
| 他人の投稿をスクリーンショットして自分のアカウントで投稿する | 複製+公衆送信にあたり、引用の要件を満たさない限り侵害のおそれが高い |
| 他人の画像を保存して自分の投稿として再アップロードする | 典型的な無断転載。原則として侵害 |
| 「出典を書けばOK」と考えて転載する | 出所明示だけでは適法にならない。32条の要件(主従関係等)をすべて満たす必要がある |
| 他人の画像をスマホに保存するだけ(公開しない) | 私的使用のための複製(30条)に当たる場合がある。ただし、侵害コンテンツと知りながら行うダウンロード等には例外がある |
※実際の適法・違法は、利用の目的・態様・分量など個別の事情によって判断されます。判断に迷う場合は弁護士にご相談ください。

SNS無断転載は著作権侵害になるのか
他人の著作物(写真、イラスト、文章など)をコピーしてSNSに公開すると、複製権(著作権法21条)や公衆送信権(23条)が問題になります。許諾がなく、適法な引用などの権利制限規定も適用されない場合には、原則として著作権侵害に当たります。
「出典を書けば転載してもいい」「非営利なら問題ない」と誤解されることがありますが、これらは原則として著作権侵害の免責事由にはなりません。また、SNSの利用規約上は他のユーザーの投稿をリポスト(リツイート)する機能が許容されていても、他のプラットフォームからの画像転載は別問題です。
削除と損害賠償では必要な対応が異なります
まずは「転載を止めたい」「相手を特定したい」「損害の回復を求めたい」のうち、何を希望するかを整理しましょう。複数の対応を組み合わせる場合もあります。
・削除を求めたい場合:投稿者への連絡や、SNSの著作権侵害申告窓口への申出などを検討します。投稿のURLと掲載状況、元の作品との関係が分かる資料を用意します。
・匿名の相手を特定したい場合:発信者情報開示の要件を満たすか、必要な情報が残っているかを確認します。削除の申出だけで投稿者の氏名・住所が分かるわけではありません。
・損害賠償を求めたい場合:権利の帰属、侵害の有無、故意・過失、損害とその根拠などを確認します。使用料相当額が検討の出発点となることはありますが、請求できる額や回収の見通しは事案によって異なります。
投稿者の特定も希望する場合は、削除への対応と併せてログの保全を検討することが大切です。保存状況や手続の要件によっては、特定に至らないこともあります。
無断転載を発見したときの対処ステップ
ステップ1:証拠を保全する
最も重要なステップは証拠の保全です。無断転載された投稿は、相手が気づいて削除してしまう可能性があります。以下の情報をスクリーンショットで記録してください。
- 転載された投稿のURL
- 投稿者のアカウント名・プロフィール
- 投稿日時
- 投稿の全体が写ったスクリーンショット(日時が表示された状態で)
- 自分の元の投稿(オリジナル)の情報と日時
ステップ2:プラットフォームへの通報
多くのSNSプラットフォームは、著作権侵害に対する通報窓口(DMCA通知フォーム等)を設けています。プラットフォームに通報することで、該当投稿の削除やアカウントの制限が行われることがあります。
ステップ3:相手への直接の削除請求
相手のアカウントが判明している場合、直接メッセージや内容証明郵便で削除を求めることができます。弁護士名義での通知書は、相手に対して強い抑止力を持ちます。
ステップ4:発信者情報開示請求
匿名アカウントによる転載の場合、損害賠償請求を行うためには、まず相手を特定する必要があります。情報流通プラットフォーム対処法(旧称:プロバイダ責任制限法)に基づく発信者情報開示請求(改正法による「発信者情報開示命令」を含む)を行うことで、投稿者のIPアドレスや氏名・住所を特定することが可能です。
ステップ5:損害賠償請求
著作権侵害者が特定できたら、損害賠償請求を行うことができます。著作権法第114条の損害額推定規定により、使用料相当額等を基準に損害額が算定されます。

SNS無断転載の損害賠償の相場
損害賠償額は、侵害の態様や被害の程度によって異なりますが、写真の無断転載の場合、以下のような要素が考慮されます。
- 使用料相当額(プロカメラマンの場合はストックフォトの料金表等が参考にされることがあります)
- 氏名表示権侵害による慰謝料
- 弁護士費用の一部
- 発信者情報開示にかかった費用
無断転載を防ぐための予防策
- ウォーターマーク(透かし)の挿入:完全な防止策ではありませんが、抑止効果があります
- 著作権表示の明記:プロフィールや投稿に著作権者であることを明示しましょう
- 利用条件の明示:転載の可否や条件を明確にしておくことで、トラブルを予防できます
- 定期的な検索:Google画像検索やTinEyeなどで自分の作品が無断使用されていないかチェックしましょう
弁護士に相談すべきタイミング
以下のような場合は、早めに弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
- プラットフォームへの通報だけでは解決しない場合
- 相手が削除に応じない場合
- 匿名アカウントで相手が特定できない場合
- 商用利用されており、金銭的な被害が大きい場合
- 同じ相手から繰り返し無断転載されている場合
著作権侵害の証拠は時間が経つほど消失しやすく、ログの保存期間は事業者やログの種類によって異なり、消去されると発信者の特定が困難になる場合があります。削除請求だけを先に進めず、必要なログの保全も早い段階で検討してください。被害に気づいたら、できるだけ早くご相談ください。
相談前にそろえておきたい資料
投稿の証拠に加えて、次の資料があると、対応の見通しや費用を検討しやすくなります。すべてをそろえられない場合でも、現在確認できている情報を整理してください。
・権利関係の資料:撮影・制作時の元データ、制作の経過、著作権の譲渡や利用許諾に関する契約書など。制作を外注した場合は、発注書やメールも確認します。
・被害の資料:転載先のURL、投稿の全体、確認日時、掲載期間、広告や商品販売に使われている状況、通常の使用料が分かる資料など。
・対応の経過と希望:通報の受付記録、相手とのやり取り、回答期限、削除・特定・金銭請求のうち希望する対応。
相談の準備に時間をかけすぎず、投稿の消失やログの保存状況が心配な場合は、その事情も含めて相談してください。
無断転載を指摘された方へ
警告書や請求書が届いた場合は、相手の主張と回答期限を確認し、掲載していた内容、素材の入手先、利用当時の規約や購入記録を保存してください。公開を続けることによる影響も踏まえ、利用停止を含めた対応を検討します。
侵害の有無と請求額の妥当性は分けて確認する必要があります。内容を確認しないまま、合意書への署名や請求額の支払を決めることは避けましょう。確認すべき事項と相談方法は、次のページで解説しています。
お問い合わせはこちらから|虎ノ門法律特許事務所

著作権、肖像権、パブリシティ権、プライバシー権について、トラブル解決のお手伝いを承っております。音楽・映画・動画・書籍・プログラムなど、様々な版権・著作物に精通した弁護士が担当しておりますのでお気軽にお問合せください。
LINEでのお問合せ
LINEでのご相談も承っております。(無料相談は行っておりません)

お電話でのお問合せ
電話対応時間 平日 午前9時~午後9時、土日祝 午前9時〜午後6時

メールでのお問合せ
費用
相談料
法律相談料は、1時間11,000円(税込)、のち30分ごとに5,500円(税込)です。
関連記事
よくある質問
Q1. 無断転載はなぜ違法なのですか?
他人の著作物を許可なくコピーして公開する行為は、著作権のうち複製権(著作権法21条)や公衆送信権(同23条)の侵害にあたるためです。
Q2. 引用なら無断で使ってもよいのですか?
出所の明示や主従関係など、著作権法32条の要件をすべて満たす適法な引用であれば、許諾なく利用できます。要件を欠く「引用」は無断転載です。
Q3. 無断転載を発見したら、まず何をすべきですか?
まず投稿のURL・日時が分かる形で証拠を保全してください。先に削除させてしまうと、その後の損害賠償や発信者の特定が難しくなることがあります。
Q4. 無断転載した相手が匿名の場合でも責任を追及できますか?
発信者情報開示請求により投稿者を特定できる場合があります。当事務所は発信者情報開示の取扱実績が多数あります。
Q5 投稿を削除してもらうと損害賠償は請求できませんか
削除されただけで、過去の利用についての請求が当然になくなるわけではありません。ただし、侵害や損害を確認できる資料が必要です。既に示談や合意をしている場合は、その内容も確認します。
Q6 無断転載禁止と表示していなくても対応できますか
その表示がないことだけで、著作権の保護がなくなるわけではありません。著作物に当たるか、誰が権利を持つか、許諾や適法な引用などがあるかを確認します。
Q7 弁護士費用はすべて相手に請求できますか
依頼した費用の全額を相手に負担させられるとは限りません。請求の見通しと必要な手続、費用を比較し、どこまで対応するかを検討することが大切です。
無断転載への対応を検討されている方は、投稿のURL、元の作品、相手とのやり取りとともに、「削除したい」「相手を特定したい」などのご希望をお知らせください。資料を確認し、対応の選択肢と見通しをご説明します。
法律相談料は1時間11,000円(税込)、以後30分ごとに5,500円(税込)です。ご相談後の削除請求、交渉、発信者情報開示などの費用は、事案に応じてお見積りします。
お問い合わせはこちらから|虎ノ門法律特許事務所
著作権・知的財産のトラブルでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
初回のご相談では、事案の概要をお伺いし、今後の見通しと対応方針をご説明いたします。
ご来所・ウェブ面談を中心に、電話・メールでの法律相談にも対応しています。LINEでのご予約・ご相談も可能です。
電話受付:03-6205-7455(平日9:00〜21:00・土日祝9:00〜18:00)








