SNSでの誹謗中傷、著作権侵害、名誉毀損などの被害に遭った場合、加害者が匿名であっても、法的手続きにより相手を特定し、損害賠償を請求することが可能です。その手続きが「発信者情報開示請求」です。

2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法では、新たに「発信者情報開示命令」制度が創設され、従来よりも迅速かつ効率的に発信者を特定できるようになりました。この記事では、発信者情報開示請求の仕組みと手続きの流れをわかりやすく解説します。

2025年4月1日から法律名は「情報流通プラットフォーム対処法」に変更されています。以下は現行制度に基づく説明です。

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発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求は、情報流通プラットフォーム対処法(正式名称:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律、旧称:プロバイダ責任制限法)に基づき、インターネット上の権利侵害投稿を行った者の氏名・住所等の情報を、プロバイダ(通信事業者)に対して開示を求める手続きです。

この手続きは、著作権侵害だけでなく、名誉毀損、プライバシー侵害、誹謗中傷など、インターネット上のさまざまな権利侵害に利用できます。

2つの手続きルート

現行法では、以下の2つのルートが利用可能です。

ルート1:従来型(仮処分+訴訟)

従来からある手続きで、2段階に分かれます。

  1. コンテンツプロバイダ(SNS事業者等)への仮処分:投稿者のIPアドレスやタイムスタンプの開示を求めます(通常1〜2か月)
  2. 経由プロバイダ(通信事業者)への訴訟:IPアドレスから判明した通信事業者に対し、契約者の氏名・住所の開示を求める訴訟を提起します(通常3〜6か月)

ルート2:発信者情報開示命令(新制度)

2022年10月に施行された制度で、発信者情報の開示を非訟手続で求めます。コンテンツプロバイダと経由プロバイダを相手方とする申立てはそれぞれ必要ですが、関連する事件を併合するなどして一体的に審理する仕組みがあります。1回の申立てだけで全事業者への手続きが完了するわけではありません。

  1. 開示命令の申立て:各事業者に対する開示命令を申し立てます。経由プロバイダが未判明の場合は、提供命令等による特定後に同事業者への申立てを行います
  2. 提供命令:一定の要件の下で、経由プロバイダの名称等を申立人に提供し、申立て後は保有する発信者情報を当該経由プロバイダに提供するよう命じる制度です
  3. 消去禁止命令:経由プロバイダに対し、ログの消去を禁止する命令です

新制度では手続きが一元化され、従来より迅速かつ低コストで発信者を特定できるケースが増えています。

申立ての要件・書式は、東京地方裁判所の発信者情報開示命令の案内をご参照ください。所要期間・費用や特定の可否は、相手方の対応、保有情報、審理の状況などによって異なります。

手続きの流れ(一般的なケース)

1. 証拠の保全(即日〜数日)

まずは権利侵害投稿のスクリーンショット、URL、投稿日時などの証拠を保全します。投稿が削除される前に記録することが重要です。

2. 弁護士への相談・依頼

手続きの見通しや費用について弁護士と相談し、方針を決定します。

3. 開示請求の申立て(1〜2週間で準備)

必要書類を準備し、裁判所に申し立てを行います。

4. 審理・決定(1〜6か月)

裁判所が権利侵害の明白性等を審理し、開示の可否を判断します。

5. 発信者の特定

開示が認められると、発信者の氏名・住所等が開示されます。

6. 損害賠償請求・示談交渉

特定された発信者に対し、損害賠償請求や示談交渉を行います。

開示請求が認められるための要件

  • 権利侵害の明白性:投稿が著作権侵害・名誉毀損等に該当することが明らかであること
  • 正当な理由:損害賠償請求権の行使のために必要であること等
  • 開示関係役務提供者であること:相手方がプロバイダ等に該当すること

注意すべきポイント

ログの保存期間に注意

ログの保存期間は事業者やログの種類によって異なり、一律ではありません。必要なログが消去されると、発信者の特定が困難になる場合があります。被害に気づいたら、速やかに弁護士に相談し、必要に応じてログの保全を求めることが重要です。

費用について

費用は事案の複雑さや相手方の数によって異なります。裁判所への印紙代・予納金のほか、弁護士費用が必要です。具体的な費用については個別にご説明いたします。

お困りの方はお早めにご相談ください

発信者情報開示請求は、時間との勝負です。必要な情報が消去される前に、ログ保全の要否を検討することが重要です。

「匿名アカウントに著作権を侵害された」「SNSで誹謗中傷を受けている」「相手を特定して損害賠償を請求したい」という場合は、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。

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